第15回認知症ケア学会大会
少量薬物療法を用いたショートステイの活用
認知症高齢者への対応は我が国にとって大問題の一つである。そして現在問題になっているのは、BPSD(行動心理症状)を伴った認知症患者への対応である。BPSDを伴った在宅認知症患者を介護施設のショートステイに入所させた場合、夜間対応が大変なため入所期間の制限や入所できる患者数が限られてしまっている。また入所期間も2日、3日程度である。そのうえ介護スタッフが疲弊してしまうため何回となくショートステイを利用することが困難になっている。今回、我々は問題行動を伴った認知症患者を介護老人保健施設で少量薬物療法を用いたショートステイを行う事によりBPSDを軽減させ、より多くの認知症患者がショートステイ可能となるか検討した。H24年~H25年3月までにBPSDを伴った認知症患者をショートステイさせ、各月における少量薬物療法を受けた短期入所者数と少量薬物療法一人当たりの月平均ショートステイ滞在日数を調べた。各月における薬物療法者の短期入所人数の推移とではH24年4月から7月までの少量薬物療法者は4~5名であったが、その後H25年3月では10名と始めの2.5倍の人数まで受けられるようになった。また各月における少量薬物療法者一人当たりの月平均ショートステイ滞在日数は、H24年4月は4.75日に対し、H25年2月は7.4日であったが3月は12.1日とかなり長く滞在するようになり有意な結果を得た。これにより従来の自宅→グループホーム→専門病院の不適切な流れを変えることが可能で、家庭崩壊目前な家族ならびにCMからも非常に助かると感謝されている。今後益々BPSDを伴った認知症患者への対応が必然である。このような社会環境の中で老健認知棟が地域から頼られる可能性を少量薬物療法とショートステイで見出した結果を報告する。