平成29年度 第13回 東海・北陸ブロック 老健大会 三重

タイトル:新しいデイケアを目指して~メディカルクッキングの導入~
筆頭演者:医療法人社団 秀慈会 萩の里 鈴木日登志
共同演者:井町記世子、羽鳥智恵、杉浦智美、大平政人、萩原秀男

 

 

はじめに

当施設では、約2年前にメディカルクッキングを導入しました。導入のきっかけは、レクリエーションがマンネリ化していたことと、レクリエーションが施設内での楽しみに終わってしまい家庭での生活に反映されていないことに気が付いたからです。レクリエーション刷新のために利用者にやりたいことや気になっていることについてアンケートを実施したところ、「料理をしたい」「お米を研ぎたい」「栄養面での体調管理が気になる」という答えが戻ってきました。アンケートの答えを踏まえ、レクリエーションを考えたところメディカルクッキングというワードにたどり着きました。メディカルクッキングを導入することで、家庭に戻って料理をすることができる(レクリエーションが反映される)のではないかと、また管理栄養士指導の元行う事で料理をしながら栄養面のアドバイスを受けることができるのではないかと考えました。

 

メディカルクッキングについて

参加者:介護度1~5の利用者20~30名(利用者をグループ分けし、各グループに職員を2名配置)

開催場所:通所リハビリフロア内

内容:調理実習・栄養指導  開催日:毎月最終水曜日、木曜日と交互で実施  開催回数:21回

メディカルクッキングは、レシピは出来るだけ季節に合うように職員でアレンジし、案内文を利用者、ご家族宛に発信し参加の有無を確認、フロア内で開催日を告知し実施しています。リハビリも含めた内容にしたかったため、生地を混ぜる、丸める、生地を焼く、完成させるなどの全ての工程は利用者が主になって行い、職員は補助として行う事としました。

 

結果

職員は補助として入るようにしていましたが、回を重ねるごとに利用者同士でサポートをし合う姿が見られるようになりました。助け合いや気づかい、また普段家庭にて家事をほとんどしていない利用者に料理を作るやりがいが少しずつ芽生えてきました。「孫がほんとうに喜んで食べてくれて、次は何を作るの?いつ?と食べてくれたよ。」「ばあばが作ったの?上手だね。美味しいね。」と家族とのコミュニケーションや関わり方が少しずつ変わったようです。料理をする喜び、ご家族で食べた時の喜びなど利用者から数多くのお話を頂きました。

メディカルクッキングはレクリエーションに大きな変化をもたらしました。利用者が施設を利用する前までやってきたことを再び行う意味や楽しさを思い出し、「もっとやりたい。」「次は何を作るのか。」と興味を持ってもらう事ができました。また、思わぬ効果として利用日を増回される利用者もいました。今はお菓子作りにとどまっていますが、今後は家庭でも簡単な料理ができるようにレパートリーを増やしていき、また利用者と一緒に地域のお祭りなどで屋台が開けるようなメディカルクッキングへと繋げていきたいと考えています。