第28回 全国介護老人保健施設大会 愛媛 in 松山

 

タイトル:認知症カフェが家族の意識を変化させる
筆頭演者:医療法人社団 秀慈会 萩の里 嶋村立城
共同演者:田村浩臣 大平政人 萩原秀男

 

 

 

【目的】

認知症とは誰もが聞いたことのある病気である。しかし理解が出来ている方は少ない。少しの物忘れや、易怒性を歳のせいにしてしまう方は多くいる。家族はどこからが認知症で、認知症になった後の対応や対策は知らないままになってしまっている。発見が遅れてしまいBPSDの悪化が見られ始めて認知症と理解する。しかしその段階では気づくのが遅いのである。私たちの認知症カフェはただお茶を飲んで世間話するだけのカフェではない。家族が認知症とはどのような病気か理解する場の提供をしている。認知症患者を家でみる家族は今も誰かの救いの手を求めている。いつでも飛び込んで来られるような寺になれる様、家族と共に悩める場の提供に努めた。

 

【方法】

1.新オレンジプランに沿って、認知症の理解と支援に努める。

2.家族の悩みを解決できるような場の提供をする。

3.認知症予防の体操と家でもできる認知症診断を覚えて頂く。

 

【結果】

(1)オレンジプランに沿って行う事で家族は認知症患者様を家でみる自信が出る。私たちが提供したカフェは勉強ができ・相談ができ・レスパイトができる場になっている。ただカフェでお茶を飲んで愚痴をこぼしていくだけの場であれば、家族の進歩はないと考えた。その為、認知症専門の医師・看護師・介護士による講義型式のカフェになっている。毎月お題を変えて、認知症という病気を深く知って頂いている。会場には、家族の為の相談コーナーを用意し、認知症のBPSD等に悩む家族の対応を考えてきた。家族の為のパーソンセンタードケアがカフェでは実施されている。

(2)なぜ家族が中心のパーソンセンタードケアにしているかというと、家族は相談する事に対し羞恥心を持っていたり、相談する場所が分からないと悩んでいたり、認知症と理解していなかったり、それぞれである。しかし共通している事は、疲れているという事であった。認知症カフェとは本来家族の救いの場になるべきであると考えている。つまり家族が勇気を出して弱音を吐かない限り、救いようがないのである。社会は認知症患者様に目を向けているが家族にはあまり目を向けられていない。認知症の対策を考えるには、まず家族の考え方の変化をさせる事が優先となる。私たちは家族が求めている場にする為にカフェを開催している。「相談場所・学ぶ場所・休む場所」認知症患者を家でみる家族が求めている場である。カフェの開催当時は数名しか来られなかったが、今では30名以上の方々が参加されていた。家族・他施設職員・ケアマネ・役所職員等の方が私たちのカフェにて学び、多くの家族が救いを求め、一部の家族はレスパイトとして私たちの施設を頼った。認知症カフェの理想型ではないか。

(3)上記の文にもあるように家族は認知症の理解が出来ていない方も多くいる。認知症と認めたくないという気持ちもあると思う。そこで私たちは家でもできる認知症診断を行った。家族が認知症と認めない限り、私たちは救う事が出来ない。講義の中で時計描画を覚えて頂き家で行って頂いた。家族が一番本人の近くにいからこそ、本人の事を一番知っていなくてはいけない。又、家族の希望により認知症予防体操も行った。コグニサイズや頭を使う体操は、家族が家でも行えるため、その場で覚えて頂いている。

 

【考察】

現代には認知症で困っている方が溢れている。しかし私たちのカフェはまだ地域にしか根付いていない。つまり地域以外の家族は救えていない事になる。今も悩んでいる家族がいるという事を忘れてはいけない。私たちのカフェが家族の駆け込み寺になれるように、今後地域の枠を超えて広めていく必要がある。