【背景】

地域包括ケア病棟ではセラピストが病棟に常駐し、単位数に縛られることなく病棟での生活に介入するリハビリとしてPoint of care(以下:POC)がある。

当院でのPOCの目的を、在宅復帰のために必要な、病棟での移動、トイレ動作の機能向上を図り、評価した内容を、担当セラピストが行う機能改善と退院支援に活かすこととしていた。しかし、在宅復帰に向け機能向上が必要な方の3~4割は1ヶ月時点で目標としているADLの獲得は難しく、在宅復帰率も4割と低かった。

その為、POCの役割を、目標未達成者を軽減することと、未達成者であっても在宅復帰できることを目的とし取り組みを見直した。

【方法】

POCで退院時のADL目標を把握し、入院から1ヶ月を目安に病棟でのADLを退院時の目標まで達成できるよう、日々の安静度変更を担当と行った。また目標ADLに達していない対象者は、状態に合わせた環境設定や介入の見直しを行い目標の再設定を行い、在宅復帰の為の促しを行った。

POC担当セラピストを週4日10時~11時、14~15時で2人ずつ病棟に配置。

【結果】

POCの役割見直し前後(2ヶ月間ずつ)で1ヶ月時点での目標未達成者の割合と在宅復帰率を比較する。

見直し前 未達成者35%  未達成者の在宅復帰率:44%

見直し後 未達成者39%  未達成者の在宅復帰率:81%

 

【考察】

役割の見直し後の未達成者の割合については、1ヶ月という短い期間では、目標のADLに向上できる方は限られており、目標未達成者を軽減するまでには至らなかった。今後は、未達成者の分析を行い、対象を絞って介入方法を見直す必要がある。

在宅復帰率に関しては、今回退院までの目標を担当と再度見直し設定することで、退院までに必要な病棟での環境設定等の対応やアプローチが明確となり、目標未達成者の在宅復帰率が向上したと考える。