第26回全国老人保健施設大会(神奈川)
平成27年9月3日~9月4日
タイトル:物品管理SPDシステム導入 ~ムダ0を目指して~
演者:小池 陽介

目的

各部署の付帯業務を軽減し、利用者様へのサービスの向上を図り、現場在庫の削減、デッドストックと期限切れによるロスを防止する。
また、消費税増税等により、物価が高くなる一方で診療報酬や介護報酬は上がっていない。そのため、用度課として物品コストの意識を高めて支出、無駄を削減する事を目的としている。

方法

平成24年6月よりSPD(Supply Processing & Distribution[供給、加工、分配])システムを導入し、法人全体の診療材料、日用品の発注、入荷、払出の一括管理をした。
内容として、物品1商品ごとの使用量、使用頻度を集計、分析し、無駄のない適正な数量を各部署の定数とし、3日分を置いている。3日分にしているのは、土曜日、日曜日は払出を行わないことと、災害時の備蓄のためである。定数にしたものすべてにSPDカードを発行。SPDカードにはバーコードがついており、バーコードを読むことでシステムに反映される仕組みになっている。
1日の流れとして、各部署に設置してあるカード回収ボックスからカードを回収し、1枚ごとバーコードを読み込み、リストで出てくるので倉庫在庫から出荷し、各部署へ払出を行っている。倉庫在庫は、商品ごとに在庫が定数を切ると発注される発注点、発注量が定められており、出荷されて発注点を切ると決められた発注量で自動的に業者にファックスが送信される。発注したものが納品されたら、入荷処理を行う。倉庫には1週間分の在庫を置いており、おおよそ1週間で新しい在庫商品に切り替わるようなサイクルで管理している。この流れを、月曜日から金曜日まで毎日行っている。
各部署の職員には、商品を使用する際にカードを回収ボックスに入れてもらうことと、払出されたものを棚に収める作業をお願いしている。
その他に、仕入金額削減の為に、商品を徹底的に調査し、サンプル及び、見積りの依頼をし、より安価な同等品への切り替えを行った。

結果

導入から約3年が経ち、在庫金額480万円から230万円の半分以下にまで削減に成功した。導入以前は各部署で発注をした。在庫が多い方が安心感が持て、重複して発注していた。そのため、過剰な在庫を抱え、デッドストックや期限切れ商品を生んでしまった。SPDシステムを導入することで、発注量と在庫量を減らすことに成功し、商品の回転をスムーズに行いムダを無くすことができ、商品を法人全体で管理できた。

考察

用度課職員の、医療物品に対する知識が不足している。知識不足により、各部署で言われたものを理解できなく、スムーズな対応ができなくなってしまう。管理する以上、商品名、商品の使用用途を最低でも覚えることと、新商品が出た時に、すぐ対応できるようにアンテナをはる必要がある。
また、平成29年4月から消費税10%になることが決まった。そこで、再び物品及び、仕入金額の見直しが必要となる。見直さずに増税を受け入れてしまっては、経営に大きな損失が生まれてしまう。
今まで以上に自分の中の価値観が変わり、1円単位で考えていたものが、1銭単位で考えるようになった。今後は、自分だけではなく、法人全体でベクトルを合わせ、共通意識を持つこと、介護技術のベクトルを合わせるだけではなく、コスト面などのベクトルを合わせることも大事と考える。