平成27年度 第1回職員研修発表会

タイトル:前頭側頭葉型認知症の症例検討~適切なケアを目指して~
筆頭演者:医療法人社団 秀慈会 萩の里  稲木孝彦
共同演者:田村浩臣、大平政人、萩原秀男

はじめに

現在認知症のBPSDに困っている施設は多くある。その中でも四大認知症の一つの前頭側頭葉型認知症(ピック病)のBPSDには非常に苦慮している施設が多くあると思われる。私たちの施設には多くのピック病利用者様がいるが、スタッフの適切な対応により他施設で大変と言われた利用者様も受け入れる事が出来る。今回我々はピック病の症例検討を行い、独自で作り上げてきた最高の対応を研究したので報告する。

 

方法

症例検討を行いその利用者様についてスタッフが把握する。少量薬物療法を行う事で、利用者様がどのように変化するか。又、BPSDが治まった事により家族の精神的・身体的ストレスは軽減するのかを検討した。

 

結果

少量薬物療法を行う事でBPSDが緩和する記録をとることが出来た。入所当時はBPSDが溢れているのに二週間経過すると、ほとんどBPSDがなくなっている。しかしこの行いは適切なケアを行うためのきっかけに過ぎない。私達介護職として大事なことは薬に頼り切らない事である。つまりピック病に対しての介護的ケアが求められる。そこで私たちはピック病患者様の日々の動きを記録に残すことにした。そこから分かってきたことは、動きに法則がある事である。暴言・暴力の出るときは、常同行動を止めてしまう時に出ると分かる。又、放尿は同じ場所にて行っている事もわかった。その改善策をスタッフ同士でカンファレンスした結果、現在は自宅でも生活できるようになった。適切な対応が分かってきたとき、家族を巻き込んで家族のスキルもあげて行った。家族は認知症の理解が乏しい事で対応の行い方を間違ってしまう。そこの修正を行う事が認知症患者の在宅復帰に繋がる。現在は家族の為の勉強会も開かれている。

 

考察

少量薬物量法は今後の老健には必要な事であると思う。前頭側頭葉型認知症と認められた患者の家族は日々精神的・身体的ストレスを溜め込んで在宅で共に生活をしている。家族は以前の暮らしをいち早く望んでいる。家族が介護に燃え尽きてしまうのは最もよくない結果であり、そうならない為にも少量薬物療法が重要になる。今後認知症患者様はさらに増加していく。それに辺り、私たちがBPSDに対して症例検討を行い、その人に合ったケアを考えていく事が必要である。少量薬物療法の賛否は分かれるが、私達の行いは家族に感謝されている事に間違いはない。私たちは薬物50%・非薬物50%を基準にし、家族と利用者を一番に考えている。