日本医療ケアマネジメント学会(浜松)
平成26年8月4日
日本医療ケアマネジメント学会

タイトル:在宅復帰率50% ~在宅強化型老健への挑戦!~
演者:蒔田貴美代

要旨

当施設は職員の意識改革と利用者様・ご家族への密なカンファレンスにより短期間で在宅強化型へと移行した。このことにより、急性期病院・リハビリ病院から在宅への一役を担うことができたので報告する。

はじめに

介護老人保健施設は、一定期間のリハビリが終了すると在宅へ返すのが本来の姿である。しかし、多くの老健では入所が長期化する利用者が多くなり、在宅復帰率は低下しているのが現状である。当施設も同様であった。我々はまず現状の把握から始めた。在宅強化型老健とは①在宅復帰率50%以上、②介護度4・5以上の利用者35%以上、③経管栄養の方10%以上の老健の事である。

現状

当施設は定員100名。内、ショートステイ5床。通所リハビリ85名の施設である。
H25.5時点での在宅復帰率は20.8%、ベッド回転率11%、重症者58.2%であった。

対象及び方法

もともと、重症者や経管栄養利用者を多く受け入れていた為、上記の②③クリアしていた。
問題を①に絞って検討。漫然とした長期化からの脱皮を図る為、まず、職員の意識改革から着手した。
・入所相談員を3名に増員し、活動量を増やす。
・R-4システムを導入し、利用者の状態確認の段階からセラピストが同行し問題を分析。入所前から在宅復帰の為の多職種協働のケアプランに沿って支援する。
・ロボットスーツを導入し、利用者のリハビリ意欲を向上させ、効果的なリハビリを構築する。
・ショートステイのベッドを11床に増床し、緊急利用者を受け入れしやすくする。
・ケアマネージャー、在宅サービス、周辺施設と連携し受け皿を確保。

結果

平成25年10月に在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定、同年12月には在宅復帰率50%、ベッド回転率10%を超え、平成26年6月、在宅強化型老健へと移行した。H26年1月から5月の病院からの受け入れ者のうち27%が在宅復帰を果たしている。

考察

(1) 在宅復帰を行なう為には、利用者、家族、医師、施設職員、近隣事業所、ケアマネージャー等の連携が必須である。
(2) 適切なプログラムの作成とゴールの予想を早期に立てることで、周辺環境の準備がスムーズになり、家族に不安を感じさせずに在宅復帰を実現できる。
(3) この体制により急性期病院・リハビリ病院から在宅への流れを確保することが出来る。